不倫慰謝料請求の際の注意点
1 不倫慰謝料請求の際に留意すべきことについて 2 配偶者や不倫相手に対する暴力的な行為 3 配偶者や不倫相手以外の人への連絡や要求 4 配偶者や不倫相手が不倫をしていることを人に伝える 5 配偶者のスマートフォンやパソコンのパスワードを解除する 6 不倫相手の家に入って盗聴器やGPSを設置する
1 不倫慰謝料請求の際に留意すべきことについて
不倫慰謝料請求の際には、証拠の収集や、不倫をした配偶者または不倫相手と交渉などの対応をする必要があります。
これらの行為は、あくまでも法律に基づき、正当性が認められる範囲で進められるべきものです。
もっとも、不倫慰謝料請求は、類型的に当事者の感情が強く働く事件です。
行き過ぎた行為があると、話し合いがまとまらなくなるだけでなく、逆に損害賠償責任を負うことや、刑事事件に発展してしまうこともあります。
特に、次のような行為はしないよう留意する必要があります。
①配偶者や不倫相手に対する暴力的な行為
②配偶者や不倫相手以外の人への連絡や要求
③配偶者や不倫相手が不倫をしていることを人に伝える
④配偶者のスマートフォンやパソコンのパスワードを解除する
⑤不倫相手の家に入って盗聴器やGPSを設置する
以下、それぞれについて詳しく説明します。
2 配偶者や不倫相手に対する暴力的な行為
相手を脅す、暴力を振るうということをした場合、逆に損害賠償請求を負うことや、刑事事件に発展することがあります。
例えば、不倫慰謝料請求の際、支払わない場合には危害を加える旨を伝えると、脅迫行為となる可能性があります。
また、不倫慰謝料を請求した際、必ずしも不倫をした配偶者や不倫相手との話し合いが円滑に進むとは限りません。
このような場面において、感情に任せて暴力を振るってしまうという可能性もないとは言い切れませんが、その後暴行や傷害の罪に問われる可能性もあります。
そのため、不倫慰謝料の請求を考えているときには、まず弁護士に相談をして、適切な請求方法を検討するべきです。
3 配偶者や不倫相手以外の人への連絡や要求
不倫慰謝料請求の当事者(相手)は、法律上は不倫をした配偶者と不倫相手です。
通常であれば、不倫をした配偶者または不倫相手以外の人は法的には無関係ですので、相手の職場の人や、親、兄弟などに連絡をして金銭等の支払いを求めることはできません。
4 配偶者や不倫相手が不倫をしていることを人に伝える
不倫の事実を、近隣や親族、勤務先等に伝えることや、SNSなどで不特定多数に伝わるようにすることは、名誉棄損の罪に問われる可能性があります。
5 配偶者のスマートフォンやパソコンのパスワードを解除する
配偶者のスマートフォンやパソコンのパスワードを解除して中身を見る行為は、プライバシー権の侵害となる可能性があるとともに、犯罪となることもあります。
6 不倫相手の家に入って盗聴器やGPSを設置する
不倫に関する行動を調査したり証拠を取得するために、不倫相手の家や敷地内に入り込んで盗聴器を設置する行為や、自動車にGPSを設置する行為は、住居侵入罪に問われる可能性があります。